WORK
作品のご紹介
制作開始から完成まで
2021年7月11日
一つの国の地図を描こうと思う時、最初に調べるのは衛星写真だ。どんな風に山脈があって、どんな風に川が流れているのか。そして、風土から気候や人の流れを考えてから、歴史や料理、伝説などの本を読み始める。イベリア半島は、ヨーロッパにあっても、ピレネー山脈で遮られて、むしろアフリカ大陸と狭いジブラルタル海峡を挟んで接している、極めて辺境の地であり、西を大西洋、東を地中海で囲まれた、半島といえども、山で遮られればほぼ島に近い地形なのだと気がついた。山で遮られると他国からの侵入は難しくなり、長い歴史を通して隣の国から侵略されることはあまりなく、独立を保てる。だから、長くその地に滞在していたイスラム国家を、レコンキスタで追い出してから、親戚同士で国家をポルトガル国とアラゴンとカスティリアーナと、その他、ほぼ現在のスペイン領土に分けてから、イベリア半島の人々は、開発し尽くされた地中海から視点を、はるか大海原の広がる大西洋に目を向けたのだろう。スペインを二分したのは近代になってから内戦によるものだ。
映画パンズ・ラビリンスの暗い物語をふと思い出す。もちろん、ナポレオンの時代は、イギリス軍とフランス軍がバタホスで死戦を、繰り広げた事も確かにあったが。話はかわるが、大西洋と地中海は、海の色が全く異なる。地図を描く上で、とても大事なポイントになるだろう。また、何故ヤコブは山を超えて大西洋近くのガリシアの地まで運ばれて来たのだろうかとか、色々なことが気になって、思いはさまざま飛んで行く。まずは山や川を描いて、その土地で一番印象が強いものを選んで行く。パエリアは、スペイン全土で食べられるものではなく、一地方料理なのだとか、エルグレゴの絵は昔も今もあまり好きじゃないとか、作業の合間に色々考える。マドリッドとトレドにしか若い頃行ったことがなかったけれど、旅に行けなくなった今、脳内VRで、イベリア半島を彷徨っている。絵の仕上がりの道程は、まだまだ遠い。
2021年7月14日
スペインは、ピレネー山脈の麓、バルセローナ付近を彷徨っている。
ピレネーにローランの裂け目という場所があり、険しい山脈の中でそこだけ塀がぶっ倒れたようにフランスとスペインを行き来できるトレッキングスポットになっている不思議な場所だ。
中世の伝説のローラン由来と思われる。
バルセローナの近郊は有名なスパークリングワインのガバァの産地だ。
そして、岩山の地、モンセラートの黒のマリア像。
カザルスで有名な鳥の歌のカタルーニャ地方は以前から独立運動で揺れている。
それは、スペイン全体の中で、とても豊かな州だからだと聞く。
ガウディをはじめ、ダリなど、アーティストの出身地でもある。
カタルーニャから南に下がった都市バレンシアは、パエリアの故郷だ。
そして、フランスのボルドーからほど近い北部のリオハは、ギリシアローマ時代からのワインの産地。
20217月21日
スペインバーチャルトリップ、北部が出来てきた。
パウロ・コエーリョの本で有名な、星の巡礼地、サンチャゴ・デ・コンポステラ聖ヤコブの墓の上に建てられた教会を目指して、巡礼者の印のホタテ貝をつけて歩く人。
中部は、トレド、ラマンチャ、南部はアンダルシアの向日葵畑。フラメンコ。ポルトガルはまだ未知の領域。
マドリードは、建物が思いつかないので、プラド美術館のラスメニナスとマハを描いてみた。
2021年7月23日
外側の世界とは隔絶して、まだまだイベリア半島の旅は続いている。
サンタマリア号と、エンリケ航海王と、ファティマのマリア様が描けたらそろそろ筆を置こうかと思う。